夕方、ふいに実家に顔を出す。
すると、
玄関前で母がお盆の送り火をしていた。
その場にしゃがみ込み、焙烙(素焼きの皿)の
上で燃え盛るおがらを弄りながら、お父さん
のことを少し思った。
迎え火も送り火も、特に関心はなく、たまた
ま寄ったら最中で、なんとなく呼ばれたよう
な気がした。
ちょうど昨日会った子に、駅や道ですれ違う
浴衣姿の若者が多かったため、どこかでお祭
りやってるのかな?と、話しかけたら、いま
靖国神社の''みたままつり''がやってますよ
と教えてくれた。
そして今日、偶然耳にした分霊(わけみたま)
のワードの全てが繋がった。
昼間、窓から降りしきる雨をひとり眺めた。
夕方の送り火も、黙って眺めていた。
雨も火も夏の夕方も静かで好きだ。
静寂に守られている心の領域で
誰かを想う。
沢山の人々と共に暮らすこの星に
ひとりでしか行けない場所がある。
雨に花