朱里日記

❁小さな自叙伝からはじまる魂の冒険記❁

永遠の小三




わたしは負けず嫌いだ。

子どもの頃は、誰にも負ける気がしなかった。わたしはわたしの力を信じきっていたから、争う相手がいようがいまいが、わたしのセカイには常に勝ちしかなかった。完全に自分がセカイの中心にいた。だから、実際に勝負に負けていた時も、脳内で自分に都合のいいように勝ちに変換していたような気がする。いつも強気だった。攻めていた。

大人になり、そんな子ども時代の自分を失ったと思った日もあったけど、ちゃんといる。あの頃と変わらない自分が心の真ん中に。ひとつ傷つくたびに、純粋さもひとつ消えたと思っていたが、何にも冒されることの無い聖域が心の奥にある。


今日は降りしきる雨の音を聞きながら、断捨離を決行した。
普通、大掃除的なものは晴れの日にやるのがセオリーだが、雨音のリズムが、静かに淡々と作業をこなしていくことに適しているように感じられ、一定のペースで進められた。
難関は、こどもたちの作品と手紙。
息子の描いた絵はこれまでにだいぶ捨ててはきたが、まだまだ保育園時代に書いていた恐竜の絵が数多く残っており、どうしても一定数は残しておきたい気持ちが消せない。娘が字が書けるようになってからわたしへと書いてくれた手紙が星の数ほどあり、小さな紙の1片さえも、やはりそれは大事で今まで捨てれずにきた。

それでも、本気の本気になれば、いまの私には全部捨てられる覚悟はある。どんなに大切なものも、いつかは消えてなくなるのだ。思い出は心の中の宝箱にそっとしまって鍵をかければいい。脳が忘れても心は覚えている。
そう、自分に言い聞かせて、小さな紙袋ひと袋ほどを残して、あとは捨てた。(今日は全部は無理だった)すこしずつ、すこしずつ、手放していこう。一気にできなくていい。覚悟はできているのだから。

あらかた片付いたな、、と思う頃、いつの間にか雨が上がり、晴れ間が広がってきていた。窓を開ける。空気がしっとりとしていて、明るい雰囲気が広がっていた。近くで鳥も鳴いている。この天気の移り変わりは、断捨離がんばったご褒美と解釈し、''ありがとうございます''と呟く。

それから、それから、今日はなんだか天気同様、気持ちの移り変わりも激しく、なかなかハードな一日だったが、最後の方で、素直さと熱さが相まって、わけわからない自分が出てきたことが面白かった。

その自分は自分の好きな自分だった。

明日はどんな自分に会えるだろう。
楽しみにしたいと思う。



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いまを