朱里日記

❁小さな自叙伝からはじまる魂の冒険記❁

ソウルメイト

ソウルメイトという言葉をみなさんご存じだろうか?魂の仲間というような意味でお馴染みのこの言葉、わたしは異動したお店でソウルメイトに出会ってしまったのだ。

なんならひとり、ふたりではなく、お店で働く人間全員がそうだと思う瞬間が一時期あったりした。

もちろんこれはわたしの勝手な主張であり、誰の同意も得てはいないので、ブログ内でもその点はご理解いただきたい。 


店長のYさん(女)はじめとする、ホールメンバーのK(男)さん Jくん Yちゃん(女)Mさん(女)

料理長のAさん(男)はじめとする、Kさん(男)Tさん(男)Uちゃん(男)KM(女)は、今でも全員ソウルメイトだったと思っている。 何故そう思うのかを聞かれても言葉では説明できない。 ただ、わたしはみんなのことを確かに知っていたのだ。

これは、わたしが人生の大転換期を迎え、就職してすぐの話だ。 つまり、行動を起こした直後の出来事であり、人との出会いだった。

わたしが魂で生き始めたと同時に起きた奇跡のストーリーなのである。 

今でもあの頃のことを思い出すと、夢を見ていたような気持ちになる。 到底理解してもらえないだろうが、あの時わたしは本当に魂の自分を生き始めていた 。


魂の自分とは何ですか?と聞かれてないが答えよう。


離婚したい意思を元夫、義理の父、母に告げた後、まだいつ正式に別れるか決まっていなかった頃にいちど、義理父、母と4人で会うことになった。 子どもたち抜きで会うことなんてほぼなかったから、状況も状況だったし、会話も弾まず、その場は気まずい空気が流れ続けた。核心に迫った話は出てこず、最後に義理母がわたしに、『もう一度ちゃんと、ね!大丈夫だよ。 それでいいよね!』と、判で押したようにそうまとめて、わたしたちを帰した。 

わたしは駅へ向かう道すがら、自分でも訳が分からないほどの強い怒りが自分の中心部から湧いてくるのを抑えることができず、道のど真ん中で突如立ち止まり「……なんで何もなかったことにされてんの?離婚できないなら死ぬ!今すぐここで死ぬ!!!!!!!」と言って泣き喚いた。 

それは、自分でも理解しがたい言動だった 。これをやったのが、魂のわたしだったのではないかと思っている。 元夫はこの時に恐らくもう無理だとはっきり理解したのだと思う。 それから約半年後、揉めることもなく離婚は成立した。


話を戻す


あの頃、わたしの目の前にいた彼等はこの三次元の世界を生きるひとりひとりの人間で、当たり前だが、本人たちもその意識で生きていたようだったが、わたしはその彼等の本来の姿、つまり魂の姿を見てしまっていたのだと思う。 それぞれ人間らしい問題を抱えており、多少なりとも人間関係のいざこざもあり、日によってまるで違った雰囲気になるあの店のすべてが今なお愛おしい。 あれほど純粋な時間はこの先の人生で二度とないかもしれない。 あの時はそう感じてもいたが、ちゃんとそれを上回る時間が先に用意されているのだから、人生は常に新たに更新されていく。

ひとりずつ話していこうと思う。

店長のYさんは、わたしがあの店のメンバーになったとき、個人的な事情で深く傷ついている時だった。 初めての休憩時間に、店のソファ席に座っていたわたしの太ももに突如頭を乗せて寝転がり『しゅーりさんっ!』と無邪気に笑いかける彼女にびっくりしたものの、''なんだこの可愛い生き物は!!''と感動したことを昨日のことのように鮮明に思い出す。 Yさんは本当にあの店を愛していて、料理長の料理が大好きで、忙しければ忙しいほど彼女はウェイターとして光り輝いていた。 

わたしは最初にレセプションという、言わば店全体を見通して把握していなければならない重要ポジションにつかされ、お客様に入口のドアの取っ手を触らせる前に開けて差し上げるという高度な瞬発力と判断力が求められる、最もわたしには向いてない役割を任された。……無論、できない。 

G座の路面店だったその店は、週末になると予約でいっぱいでも、ウォークインと言われるいきなり来るお客様にも対応しなければならず、「あと何分くらいしたら空きますけど…」などとうまく言って待たせ、いかに回転効率よく集客できるかは、その日の売上目標を達成できるか否かの重要なポイントとなった。 最初の頃は集中力がもたず、毎日緊張感に晒されていた。 Yさんも横からアドバイスはしてくれるものの、ピーク時はみんな自分のことで手一杯で、困っても相談ができなかった。ただ、わたしはなぜか運だけは味方につけていて、オーバーブッキングというミスを犯した時も『あ~、どっかキャンセルにならないかなぁ~』と念じれば、必ずと言っていいほど、キャンセルの電話が入って命拾いをした。それを見てYさんはいつもうれしそうに『やったね!しゅりさんはラッキー星から来たんだね!』と彼女らしく揶揄した。 Yさんがレセプションをやっていた時にもやはりオーバーブッキングの事態が発生して、その時はキャンセルが出ずにお客様にお叱りを受けたことがあった。 その時Yさんは『Yはラッキー星から来てないから…』と本気で悲しんでいた。  本来の彼女は天使のように天真爛漫で明るい太陽のような人なのに、生きてきた中で、純粋な分、人より深く傷つくことが多かったのではないかと思えた。 彼女の孤独はわたしには痛いほど伝わってきて、でもそれは誰かがどうにかできるものではないこともわかっていて、あの頃、ほんの束の間でもわたしはYさんの孤独にそっと寄り添ってあげることができていただろうか?なんて、ふと、そんな風に思い出す日がある。  


わたしは彼女とは、料理長のAさんと共に、いつかの子ども時代に一緒に森を走り回っていた仲間のような気がしていた。


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伝説の🦐トースト!