朱里日記

❁小さな自叙伝からはじまる魂の冒険記❁

ソウルメイト5

ソウルメイトをここまで6人語った。

 想像以上のエネルギーを使っているようで、ここ連日食いしん坊のわたしらしくなく、食べることも忘れ、寝る時間も惜しみ、気づくとブログに向かっている。まだ誰にも読まれてなどいない、言うなればただの日記にここまでの情熱を注ぎ込めることが単純に凄いなぁ~と、まるで他人事のように感心してしまう。

でもなぜか、記事を書けば書くほど、このいまは無意味の行動も、いつの日かなんらかのカタチで誰かの役に立つのではないかと、信じてしまう自分がいる。 その誰かには未来の自分も含まれているのだと思う。  これを今やりたいんだ!という衝動を無視せずにやらせてくれてるわたしの中の人、あなたですよ、あなた!

ありがとうございます。

この日々がこんなにも充実しているのはあなたのおかげです。 もう少しの間このままよろしくお願いします。


というわけで、ホールメンバーについては前回まで(KMはマルチ枠)今回からはキッチンメンバーに移りたいと思う。

Kさんから話そう。

Kさんは素晴らしい人格者だった。とにかく彼の笑顔を見れば一目瞭然、それ以外の彼を語る言葉など一切不要。  わたしは後にも先にもあれほどまでに真実の笑顔を見ることはきっとないだろうと思うほど、いや、見なくていいと思うほど、Kさんの笑顔さえあればいつでも世界は平和だ。

いま思い出すだけでもあの笑顔のおかげで、どんなに心が悪天候のときも瞬時に晴天へと変わり、明るい気持ちにさせてもらえる。 ほんと、それだけでKさんという人が生きていることの偉大さを思い知る。


わたしがあの店で働き出して間もない頃のある日のこと。キッチンメンバーはランチ営業終了後に、ゴミをまとめて、店から50メートルほど先にあるゴミ捨て場まで捨てに行くのがルーティンとなっていたのだが、その日は料理長、副料理長、Kさんの3人で手分けしてゴミを運んでいた。 わたしは店の入口入ってすぐ右手のバーの締め作業をしていたのだが、そのわたしの横を3人が通り、店の外へと出て、右手方向のゴミ捨て場へと向かって行ったのを店の中から見ていたとき、不思議な感覚がわたしを襲った。そのときの彼らの姿に、いつか自分が熱狂したバンドのメンバーを見ているような気持ちになったのだ 。ビートルズのアビイ・ロードという誰もが知る、かの有名なアルバムのジャケ写のごとく、コックコートさえも衣装のようで、3人が笑って歩いている画は頭に焼き付いて離れない。 あの画は間違いなくアルバムのジャケ写で見たことがあったのだ 。

なんかそんなことがありすぎて、ほんとヤバい奴と思われても仕方ないのだろうが、わたしは結構こういう話をみんなに普通にしていて、『しゅりさんには見えたんですね~。』なんて、小バカにする感じではなく、みんな笑って聞いてくれたりした。 あれはやっぱり、みんなの優しさだったのだろうか。 いや、ほんとはそんな不思議な現象を自然に受け入れられちゃう人たちだったのではないだろうか。

そういうことに自己都合上、しておきたいと思う。


Kさんは料理長の鬼のしごきに耐え抜き、いつだって一生懸命だった。 来る日も来る日も料理長はKさんから目を離さず、逐一厳しい指導をしていた。 それは、Kさんはこの店に入ってきた時は料理の経験は0で、一から料理を学んだことも理由のひとつだったと思う。

自分より年下の料理長の指導をあれだけ素直に聞ける人はなかなかいないのではないか、とわたしはホールからキッチンの様子を覗きながらいつも思っていた。 もちろん料理の世界は実力が全てだから、年齢は関係ないのだが、料理長とKさんの関係はまるで親子で、愛情があるからこその厳しさといった親である料理長の愛を、子であるKさんが全身で受け止めているように思えた。 ちょっと古臭いけど、これが''本来の親子関係なんだろうなぁ~''と、わたしはそんなふたりが眩しく、目を細めて眺めた。 あの二人はソウルメイトで、親子の絆で結ばれていたのかもしれない。





f:id:like_nanohana:20190713174921j:plain

熱々のうちに運ぶこと!!byキッチン