朱里日記

❁小さな自叙伝からはじまる魂の冒険記❁

泳ぐ

どれくらいぶりだろう。

夏という季節柄、ふいに泳ぎたい衝動に駆られ、近所のスポーツセンターへ出向く。


そこは、わたしが小学生の頃、スイミングスクールに通ったプールで、軽く築30年は経っている、なかなか裏ぶれた雰囲気の施設だ。


この季節に、ざっと見回しても利用者は10人いるか、いないか、といった人気のなさ。

なのになぜか、監視員だけが、夏仕様で採用を多めにとってしまったのか、4~5人もいる。


ウォーキングコース・初級者コース・中級コース・上級コースと、1レーンごとに区切られており、わたしは気ままに泳ぎたかったので、誰もいない端の初級者コースで泳ぐことにした。


すると、監視員の若い男の子に早速注意を受ける。内容は、''行きも帰りも右側通行で泳いでください''とのこと。   

プールの底中央にラインがあり、そのラインの右側を泳ぐように、という意味らしい。

わたしは「はい。わかりました。」と素直に答えたが、心の中では、(誰も利用してないのに、なんで?)とか思っていた。


それからしばらくして、ウォーキングコースに10人中5人くらい集中しているのを見たため、わたし以外誰も利用してない初級者コースで、ウォーキングをしてみたら、また今度は違う監視員の若い女の子に''このコースではウォーキングしないでください!するなら、ウォーキングコースを利用してください!''とすかさず注意を受けた。


またわたしはさっきと同じく素直に「はい。わかりました。」と答えたが、やはり心の中では(アホか?!)と、今度はやや食い気味で反論していた。


なぜ、誰も利用していないコースで自由に泳いではいけないのだ?誰かが来たらルールを発動すればいいではないか?!しかも、利用者はたったの10人の日である。

彼等は、どれだけキッチリ厳しい指導を受けて、このバイトに臨んでいるのだろう。  


空いていてラッキー☆と思った気持ちに水を差され、自由がない不自由さに、水に溺れる前に窒息しかけたので、早々に引き上げた。

臨機応変などという融通はここでは通用しないようだった。 


きっと、プールの指導員は人の命を預かる仕事とも言えるから、いい加減な気持ちでやらないように!などと教えられ、彼等は真面目に職務を果たしていたのだろう。

教えられたことを守らないと、自分の非になる。  自分が怒られるのは嫌だから、教えられた通りにやるのだろう。


わたしは、そういう考えがどうしても好かない。 ルールや規則よりその場の空気、その場の人に寄せたい。  そういう自由さが許せない人間から怒られまくって生きてきた。  

それでも変わろうとはどうしても思えなかった。 問題児だ。  自分が損すると分かっていても、ルールや規則を一番に考えるのではなく、できるだけ柔軟に対応したい。

むしろ、それができないのなら、その仕事はもうロボットにやらせてもいいということにはならないだろうか?


日本は好きだが、どうしても自由人気質のわたしには肌に合わない考えが巷に溢れている。

一切合切背負うものがなくなったら、ルールの緩い外国にでも、ポーンと飛んでいけばいいのかもしれない。


帰って料理をして、食べたいものを食べたらすっかり気分は回復したが、あのプールにはもう行くまい!と固く決意をした。


わたしは、'' 別にいーよ  ''という気風が好きだ。

ダメなことなんてほとんどなくない? 自分で決めたい。  ''それは無理です''とか極力言わないで受け入れたい。

懐は常に余裕を持っておきたい。

ただでさえ息苦しい社会の中で、毎日みんな頑張って生きているのだから、息抜きの場では、わたしは、別にいーよって笑って受け入れる人であろう。


まあ、結局こう思えたのも、あの2人のおかげなので、感謝したいと思う。


ありがとう!(無理矢理感!笑)




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不思議なオブジェ