朱里日記

❁小さな自叙伝からはじまる魂の冒険記❁

台風

…が関係しているのか、否か。

気圧のせいか、なんなのか。

心の中心が定まらない。


今日は一日中、まるで見えない鎖に繋がれているかのように、動けなかった。


時刻は22時。

徐々に風は強さを増してきたが、雨はまだ降り出していない。


昔から台風は好きだった。


子どもの頃の記憶で、台風でどしゃ降りのさ中、家の前の道に飛び出して、まるで''ショーシャンクの空に''ばりに、天を仰いで、両手を広げ、雨に打たれるままにまかせてびしょ濡れになるのを楽しんだことがあった。季節は夏だったのだろう。そのあとお風呂に入ればいいや、と思っての行動だった。


あれは、気持ちよかったんだろうな。もう二度とやらないだろうけど。


あとは、中学生の頃の帰り道。


その日は、台風で突風が吹き荒れていて、わたしは持っていた傘と一緒に、身体ごと数メートル先へと飛ばされた。身体が風に乗って一瞬、飛んだような感じになったのだ。単純に面白かったのと、ちょっと怖かったので、いまもその時の情景がはっきりと思い出せる。


台風の思い出だ。


そんなわたしの血を譲り受けてしまった娘は、中3のとき(もはやこども?ではない)東京に大雪が降った日に、ひとりでとんでもなくどデカい雪だるまを作っていたことを思い出す。そして、フカフカの雪に突っ伏した自分の写真を撮って欲しいとお願いまでされた。(うん、気持ちはわかるよ。…にしても、こどもらしすぎるし!)


人にあえて公言してないだけで、意外とみんなこういったことやったのかな?『こんなことやってるの自分だけだろう』と思ってみんな黙ってたのかもしれないな。


あ、だけど怖くて不安だった思い出もあった。あれは、5~6歳の頃、わたしはその頃まだ母親と一緒の布団に寝ていた。台風の風の強い夜のこと。その日に限って、母親は一階の祖母の営む雀荘の手伝いをしていて、わたしはひとりで寝ることになった。

真っ暗で、窓を叩きつける雨風の音だけが永遠に鳴り響いていて、ものすごく怖かったのに、わたしは怖いと言えずに、ひとりで布団の中で眠るまでの時間を耐え忍んだ。


わたしにはたった一日のことだったが、家庭の事情で、毎晩、心細い夜を過ごすこどもはどれくらいいるのだろう。

どうか、その子たちが今夜は台風に怯えることなく、安心して眠れるよう、神さまお守りください。


わたしにできる、ささやかな祈りを胸に台風の夜を越えたいと思う。


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入道雲と電線と鳥