朱里日記

❁小さな自叙伝からはじまる魂の冒険記❁

他愛ない話

ねぇねぇ、聞いて。


今朝ね、昨日壊されちゃってたツバメの巣の跡に、ツバメが帰ってきて、また巣を作ってたんだよ!

見つけたとき、あんまり嬉しくて、思わずツバメに向かって『おはよう!おかえりー!』って声に出して話しかけちゃったんだ。


わたしの声に気づいて、ちょっとこっちを見たんだよ。ほんとだよ。


あとね、

帰り道に通る公園でブランコに乗ったの。

小さい頃、ブランコでこれ以上高くいけないってとこまで高く漕ぐのが大好きだったの。

だから今日も高く高く漕いだ。

そうするとね、不思議なんだけど自然に笑っちゃうんだよ。胸がふわって、宙に浮くあの感じがなんだかくすぐったくて、面白くなってきて、笑っちゃうんだ。


隣りの滑り台をトトロのぬいぐるみを抱えた小さな女の子が滑ってた。

その子もね、ちいさく笑ってたよ。


公園では今日も、鳩がトコトコ歩いてて、

おじさんたちがお喋りしながらお弁当を食べてる。


鮮やかな躑躅のアザレアピンクが眩しくて、クレマチスの白、淡いピンクのフリージアや、マリーゴールドの橙。色とりどりの花壇を眺めた。


ブランコから飛び下りて、歩き出す。


この時期、ハナミズキが満開の木が沢山あることに気づいたんだ。


いつもの写真館の前で、ショーウィンドウに飾られてる家族写真に紛れてなぜかある、毒蝮三太夫の笑顔の写真を見ては笑って、新しいマンションの前にわざとらしく植えられてるラベンダーをちょっとちぎって、ポケットにしまったの。

忘れた頃に、ポケットからいい匂いがするとちょっと嬉しい気持ちになるって、これ、前にも話したっけ?


ねえ、聞いてる?


つまらない話だなんて言わないで。

大切な今日の思い出なんだから。


わたしが忘れても、忘れないで覚えていてね。


あなたは覚えていて、わたしがもしもいなくなっても、時々思い出しては笑ってね。




笑ってね。




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おかえり🏠